Open Sesame!

日々の観劇の感想や感じたこと

2015/11/5『ダンス・オブ・ヴァンパイア』帝国劇場

 

 

ダンスオブヴァンパイア、何度も観たい観たいと思いつつなかなか行けてなかったので念願の観劇でした!

 

帝国劇場は良いですね。休憩中にロビーでお土産を見たり、カツサンドを食べるのがとても幸せです。

 

さて、内容ですが。

何言いたいのか、つかみどころが難しい話でした(笑)

例えば、ロッキーホラーショー死霊のはらわた、リトルショップオブホラーズみたいにちょっとイロモノでなんかよくわからないけど楽しい!みたいな作品…ではないし。かといって、レミゼやエリザのように歴史上の人物を絡めたものでもない。

ゴシックな雰囲気を漂わせつつ、ちょっとバカバカしい、それでいて伯爵はシリアスに自身の孤独さを歌い上げる…と思ったら最後はみんなヴァンパイアでモラルもルールもまっぴら!?

もう、え!?って感じです。

曲も、これといって頭に残るほど(ロミジュリならエメ、エリザなら闇広)のものはなかったかな…カテコで歌う曲は同じフレーズを繰り返すので頭に残ったけど。

これだけ書いて、じゃあ面白くなかったのか?と言われれば面白いから困る(笑)
コメディと思えばコメディだし、その中で垣間見える伯爵の孤独に心を打たれたかと思えばその後キラッキラな宝塚ばりの衣装を来て階段を下りてくる伯爵様。
あまり深く考えずに楽しめということか?と思いきや、ふと考えてみればあれってこういう意味なんじゃ!?と解釈の余地がある。
こういう作品を、帝国劇場でやる、むしろ帝劇レベルでなければ伯爵様の豪華さがなくなって面白くなくなってしまう。
私的に、新しいミュージカルでした。
帝国劇場で光るブレスをつけて踊ることになるとは(笑)

 


人間は誰しも欲望がある、理性では抑えきれない欲望が。
大人への憧れ、恋、人のものであっても欲しいと望む愛…
それを目覚めさせる伯爵の誘惑、吸血鬼の牙。

 


教授:石川禅さん
→一番かわいいのは禅さんでした(笑)
理性理性、研究、結果、大学、理論理論理論!!!!お堅くて本が大好き、理論大好き、でもおちゃめで憎めない(笑)
あ~禅さんだなって。一番歌うまいの絶対禅さんでしょ(小声)ほんと大好き!
最終的に、教授だけは助かったの?理性があるから?その辺よくわからなかったな…
ラストみんな弾けてたけど、教授だけはそうじゃないってことは…そういうこと?

 

伯爵:山口祐一郎さん
→かっこよかったです。トートより伯爵の方が好きだな。
ただ、ちょっと歌詞を聴き取りづらいかな。
あんなに笑ってる山口さん初めて見た。いつも眉間に皺を寄せた役ばかり見てきたから。
教授がぶるぶる震えてるせいでなかなか本を渡せないシーン、めっちゃかわいかったw

 

ルフレート:平方さん
→かわいかった。ああいう、お坊ちゃんっぽいけどヘタレみたいな役が一番似合うと思う。
つまり、絶対にティボルトじゃない(笑)
サラに一目惚れして、サラ~サラ~って色恋に溺れて研究どころじゃない。
つまり、彼は理性より欲望が勝ってた。教授とは違ったのね。

なんか、アルフとサラを見ていると男はいつまでも子どもで、女の方がさっさと少女から大人の女になっちゃうんだろうなって。
男は置いてけぼり、現実を見て男のあしらい方をさっさと覚えていく女に勝てない。かわいい。

歌が聴き取りやすいしさわやかでよかったです。


サラ:美海ちゃん
→かわいい…とても可愛いのだけれど…
やっぱり宝塚補正ってあったんだなって。チョンガンネで観た時は周りがDぼだし気付かなかったのかもしれないけど…なんて双方に失礼なことを思ったりして。
顔のつくりがとても可愛くてアーモンド型の目と大きな口。舞台映えばっちりなので平方さんと比べて双眼鏡なくても見えました。笑
身のこなしはさすがで、ドレスさばきも可憐さもある。どことなく娘役を感じさせるのも悪くなかった。
でも、歌が弱い。細い。腹から出すタイプじゃないのは宝塚の時からだけど、デュエットすると消えてしまう。
娘役は男役相手に二の次でいなくちゃいけなかったかもしれないけど、今はヒロインとしてもっと堂々と歌声を披露していいはずなので物足りなさが否めない。

目当てで行ったのでちょいがっかり…けど、短いながらもダンスシーンはさすがでした。美しい。

やっぱり、美海ちゃんはダンサーなんだと思う。カテコでも踊ってる時いきいきしてたもん。踊ってるところ見たいな~。

サラはもう18歳だけど世間知らずの少女。美海ちゃんの役作りなのか、ジュリエットのような純粋な少女でも小悪魔ロリータでもなく。
単純に父親に閉じ込められたことを怒るより、外の世界の闇に魅入られてる感じ?
年頃の女の子が悪いものに憧れるあの感覚。夢見る少女じゃいられない。
少女が夢見る、大人の女になりたいという夢や欲望。それを18歳になって一気に爆発させてしまったんだろうな。

 

マグダ:ソニン
→もし美海ちゃんと一緒に歌ったりしたら完全に食ってたと思う。
なんか、モーリーンから立て続けだったからなのかモーリーンのようだった(笑)さすがの貫録…
歌が弱いヒロインならソニンが歌ったら?と思ったけど、たぶんあの少女感は出ないタイプだなソニンは…
声量合戦みたいなRENT直後だし、もともと声量ばっちりで爆発したみたいなバズーカ歌唱のソニン
とにかく聞いてて気持ちがいい!禅さんが耳をなでるように気持ちいい歌声だとしたら、ソニンはもっと頭殴ってくるみたいな歌声(笑)すっきりする!大好き!
「笑っちゃうよ~死んじゃうなんて~」「あたしここよ~触っていいよ~」のところあたりは、ちょっと涙ぐんだ。あ、マグダも彼のことを一応愛してはいたのかなって。


ヘルベルト:上口さん
→るひまの明智で知って、楽しみにしていた上口さん。
るひまのファンの中では、視線泥棒なんて言われてたけど、ほんとそれだわ…
役どころは、伯爵の息子。そしてゲイ(笑)
ぴったりと体に張り付く服に、怪しげな黒とブルーグレーのグラデな髪。サングラス。怪しい(笑)

伯爵の城を訪れた教授とアルフに対し、伯爵が「息子も喜びます」みたいなことを言ってから出てきたヘルベルト…
「退屈にさよなら~~~~♪」高らかに歌い上げつつ平方さんにべったりでめっちゃ怖いww
明らかに男を狙ってるぞ☆って雰囲気をまとってた。笑

サラはよくお風呂に入っていてそこで「Ah~♪」なんて歌ってその美しい声にアルフは誘われお風呂に行っちゃうのだけど
サラのピンクのシャワーカーテンではなく、ブルーのシャワーカーテンの奥から「Ah~♪」と綺麗だけど男の声が…
絶対ヘルベルトだろ!?wwって感じなのにあっさり誘われたアルフwばかww
カーテンが開くとやっぱりヘルベルトが…「一緒に入る?」じゃねえよww

ヘルベルト…キャミソールにTバックに装飾レースのパンツ?レギンス?みたいなのをお召しで…アルフが怖がらないわけないww
以前は吉野圭吾さんがこの役を演じていたとか…一周まわってもう見たくないよねそれw怖いwハマるわww

上口さんはもっと踊りたそうな感じで、カテコではだいぶ弾けていました。
私はカテコでは役をそんなに守らなくてもいいよ~なタイプなので、楽しそうに(というかMJ風に)踊る上口さんが楽しかった(笑)

 


ダンサーさんたち
→ひとまとめにしてしまいましたが、新しい発見が、もうひとつ。
今度初めてシルヴィギエムの公演を観に行くわけだけど、ダンスだけの公演なんて見たことない!
眠くなったり退屈になったりしちゃうんじゃないか…と。
思ってたけど、今回のヴァンパイアダンサーさんがソロで踊るシーン。
横で伯爵様が歌っているのに、それがまったく頭に入ってこないくらいとにかくダンサーさんを見てしまった。
綺麗な肉体、怪しげな存在感、動き…観ちゃう。

体の隅々まで、指先が、脚が、爪先が、間接がここまで動くか…というほど肉体全てを使って表現することの凄さを改めて実感。
ああ~次のロミジュリも死は中島さんでお願いします…

伯爵の歌だけではなく「夜を感じろ」というナンバーでは眠っているアルフと教授のそばでヴァンパイアたちが踊る踊る踊る…

ベッドの天蓋から蝙蝠のように逆さになって表れたヴァンパイアにもう胸のときめきが収まらない!!
曲そのものも激しくて、ベッドのもっと上の方で歌う人たちと何人もで踊る、そのエネルギーの強さ!ヴァンパイアなのに生命力に溢れてるよ(笑)

幻影のサラとアルフがヴァンパイアたちに翻弄とされていく様…単純にダンスとして楽しんでしまった。
人間の体って、表現力って凄い。

 


そういえば、サラがお風呂に入っているときに伯爵がやってくるシーン。
なんか、海外のホラー映画って美女がシャワー浴びてる時に殺人鬼とかそういうのに襲われたりするイメージあるからそれを思い出したな。

 


私は、ミュージカルや舞台には必ずしもメッセージ性が必要だとは思わない。
特に、ミュージカルには。だって、歌って踊って台詞も言って、エンターテインメントだから。
メッセージがあればあったで面白いけど、なければないでその場面その場面を楽しませてくれればそれで面白いと思う。
そういうミュージカルもいっぱいある。

感動っていうのは、何も泣いたりすることだけじゃない。
笑ったり、ドキドキしたり、何か残ったかって言えば「あー面白かった」それだけでもいいと思う。

そこはほんと、自分というか人の感性次第だけど。

人が死んで泣けるお話もいっぱいあるけど、人が死んだのになぜか笑えちゃうみたいなのもあっていいよ。シュールコメディとして。

 


ダンスオブヴァンパイアは、観る側の感性に完全にゆだねられてると思った。

メッセージを受け取ろうと思えば受け取れるし、あー面白かったで済ませられればそれもそれでよしというか。

フィナーレでみんなで踊って、劇場出た時に思うのは「楽しかったなあ」だし。

リトルショップやロッキーホラーともまた違う、新しい感覚を味わったミュージカルでした。