Open Sesame!

日々の観劇の感想や感じたこと

2015/12/30「晦日明治座納め・る祭~あんまり歌うと攻められちゃうよ~」明治座


第一部:お芝居「将の器~泣くよウグイスHEY!HEY!HEY!~」

 

観終えてすぐ、バッドエンドだと思った。

 

坂上田村麻呂は、人の心の声が聞こえてしまう。
そのため人間不信で感情はとうに捨てたと言い、動揺などしない能面のような男。
一方阿弖流為は、蝦夷のリーダーで天真爛漫な大食漢。
素直で心優しく暴力を嫌うのに、怪力の持ち主。

そんな正反対の、二匹の「怪獣」のお話でした。

田村麻呂のいる朝廷軍はストレート。
阿弖流為率いる蝦夷たちはミュージカル調での芝居の表現。
相容れない者たちの対比。

田村麻呂は、人の心の声を聞えないようにする勾玉を、桓武天皇より授かっていた。
その桓武天皇の命により、蝦夷討伐に向かう。
森の中で偶然、阿弖流為に出会う。そして、彼の心の内を聞く。「お前の望みはなんだ」『おにぎりが食べたいな~』「おにぎりだと!?」
人間は笑顔で嘘をつく。それを知り人間不信となった彼にとって、言葉と心の声が同じ阿弖流為は不思議な存在。
「美味しいご飯を食べて美味しいお酒を飲んで、みんなで美味しいねって言えるようになったらいいね」そんなことを心の底から願う阿弖流為を、田村麻呂は受け入れた。
自ら名前さえ名乗ってみせた。田村麻呂は阿弖流為を気にかけるようになる。彼らは天皇が言うような「獣」ではない、自分と同じ「人間」だと。

阿弖流為は、アラハバキ神に愛され「蝦夷の未来を紡ぐ者」と言われていた。
しかし彼は、戦を好まない性格のせいで蝦夷たちの中で浮くことがあった。その素直さと怪力によって仲間を傷つけ、責められ、悔いて自ら力を手放せば「役立たず」と罵られた。彼はその力を失くすためにアラハバキ神に相談していた。神聖な取引には何か代償が必要だった。
「力を失えば、次にその力を取り戻し使う時、それは阿弖流為が死ぬ時」
阿弖流為は全てわかっていて、蝦夷を、仲間を、みんなを救うために覚悟を決めた。
力があってもなくても悲しいことがあるなら、自分の力を受け入れその力でみんなを護ろうと。

田村麻呂はとある出来事により、阿弖流為は自分に嘘をついたと誤解。
両軍の勝敗を掛け田村麻呂と阿弖流為は斬り合った、はずだった。刺さる田村麻呂の刀。阿弖流為の刃は寸止めで田村麻呂を傷つけることはなかった。
阿弖流為は、自らの命を犠牲にして蝦夷を救った。
阿弖流為は、自らの命を礎に「蝦夷の未来を紡ぐ者」。
阿弖流為は、田村麻呂なら自分を殺してくれると信頼していた。
田村麻呂の身体を引き寄せ、さらに刀を深く貫かせた。

最後に、「人間ってさ、そんなに悪いもんじゃないよ」悪い声だけじゃない、別の声も聞こえるかもしれないよと田村麻呂に伝えると、アラハバキ神の元へ召された。

現実はそう甘くない。
その後も、田村麻呂には相変わらず人間の醜い声ばかりが入り込んできた。
けれど、田村麻呂は阿弖流為の目指した「美味しいご飯を食べて美味しいお酒を飲んで、みんなで美味しいねって言える」国を作ることを目指し、天皇より授かった勾玉を、刀で砕いた。

自分の力を、自分自身を受け入れ、生きていく道を定めた。

 

田村麻呂と、阿弖流為の対比が見事でした。
外からの声、内にある力。
心を閉ざした田村麻呂と、素直に感情を出す阿弖流為

2幕の冒頭で歌う曲で
田村麻呂は「この国の為」と歌い
阿弖流為「みんなのため」と歌う。
言葉は違うけど、命を懸ける意味というか先にあるものは同じで。

怪力を取り戻した阿弖流為や、阿弖流為を犠牲にすることを受け入れるしかない蝦夷たち、そして田村麻呂が歌う怪獣のバラードはとにかく泣けた。
まさかこの年で、怪獣のバラードで手拍子しながら泣く日がくると思わなかった。

 阿弖流為が武器を持って歌う姿はまさに怪獣で
「海が見たい 人を愛したい 怪獣にも心はあるのさ」
歌詞が、阿弖流為の優しい心とリンクするから。

蝦夷の仲間たちと共に歌う阿弖流為の後ろに田村麻呂が一人歌う。
直前に側近であり友だと思っていた綿麻呂に裏切られ、一人となった田村麻呂。
「海が見たい 人を愛したい 怪獣にも望みはあるのさ」

気付きました。人並み外れた能力を持つ彼もまた、怪獣だった。力持ちで身体が大きな阿弖流為だけじゃない。
人の心の声が聞こえてしまう田村麻呂だって。その力のせいで人を嫌い、嫌われ、でも感情をなくすなんて無理だ。
傷付かないように、心に蓋をして気付かないふりをしていただけ。本音では「人を愛したい」。
愛のある未来を、平和な世を、同じ未来を二匹の怪獣は望んだ。
それは阿弖流為亡き後も、田村麻呂の生きる道となった。

阿弖流為は自分の力のせいで仲間も自分も傷付けながらも、最終的には自分自身の力を含めすべてを受け入れた。阿弖流為だって、人が嘘をつくことを知っている。嘘には種類があることも知っている。
それは紀古佐美のような姑息な嘘であったり、阿弖流為が仲間についた人を護ろうとする嘘であったり。
そのうえで信じる強さを持っている。わかりやすくヒーロータイプ。
凄く勝手に、広く解釈すると、ナルトとサスケみたいな対比だと思うんだよね。
田村麻呂は冷えた心を、阿弖流為の素直さに溶かされた。。
彼自身、蝦夷を「獣」だなんて思っている様子ではなかったけど、それでも森で対峙したことによって
人並み外れた怪力の阿弖流為は「人間」だと。それを知って、自分もまた人並み外れていても「人間」であるいうことを思い出せたんじゃないかな。

 怪力を持っていても、人の心の声が聞こえても、嘘をついても、感情があって、それが人間で、だから戦も起きて、それが世の中で。色々あるけど、悪いことばかりじゃないと教えてくれた阿弖流為
そんな救いのヒーローを手にかけることになってしまった田村麻呂は可哀想なんだけど、それでも阿弖流為に出会わない人生よりもずっと良かったはず。
桓武天皇に言われたからじゃない、自ら目指したい世の中を、阿弖流為も望んだ世を作ろうという強い志を持てた。
同時に、阿弖流為にとっても自らの能力や運命を受け入れ蝦夷のためと命を絶つ決断を下すのに田村麻呂の存在は必要不可欠だったと思うので、
やはりこの出会いは必要なものだったんだろうな。

阿弖流為が死ぬ間際の田村麻呂とのやりとり、二人があまりに綺麗で惚れ惚れしました。
相容れないはずだった二つが心から重なった瞬間だったんだと思います。
観終えてすぐはバッドエンドと感じていたけれど、今となってはメリーバッドエンドくらいには思えています。

ただ、すっきりした顔で田村麻呂を引き寄せて自ら刀を深く差した阿弖流為と、阿弖流為の言葉が嘘ではなく自分が誤解していたこと、阿弖流為が死ぬという事実の二つを突き付けられて
戸惑い動揺している田村麻呂の表情を見ると彼はやはり辛い現実や未来を背負ったなと。
でも、実は一番可哀想なのは母礼では?残される者たちはいつだって辛い。

全体的に脚本が、そこでその台詞を言わせるか!?っていう、人の心にズカズカ入り込んでくる感じだったんですね。良い台詞も、嫌な台詞も。今回初めて女性の脚本家さんだったということだけど、ポジティブにもネガティブにも、心に訴えてくる感じがまさに…と言った感じでした。
「なんかよくわかんないけど楽しかった」という感想の大江戸の次に生で観たのがコレという落差は凄い。
るフェアよりも容赦なくて、これくらいやってくれると作品として矛盾も甘さもなくて結構好きです。

 

田村麻呂*三上
→あんな顔をする三上を見ることになろうとは…
遡れば2009年秋…鴉が三上を初めて見た時だったけれど、あの時からなんだか高貴で几帳面そうな雰囲気の役のイメージで。失礼だけど特別うまいとか下手とか意識したことなかった。
それがなんかもう…田村麻呂可愛すぎか?不憫すぎか?
田村麻呂が花道を通ってきた時の佇まいが美しくオーラがあって、なんかもう惚れ惚れしてしまいました。
三上らしい役でもあるけど、三上=フェニックスというか熱血というかとにかく真っ直ぐな熱をいつも感じていて完全なる「陽」ではなくとも「陰」ではなかった。
それが今回は、人の心の内が聞こえるがゆえに心が死んでしまったような「陰」の雰囲気があって驚いた。しかも、阿弖流為は田村麻呂のミミかって感じでキャンドルの火を灯してくれたようで、その表情は少しずつ生き生きしていく。
なのに!めんまろこのやろ~!めんまろの仕打ちと天皇の「今度の側近には本音を出させないようにね」という言葉。
人間らしくなったはずの田村麻呂が再び表情を失った時のあの、今度こそ救いのないような、真っ黒な目…
三上のあんな表情を見ることになるとは思っていませんでした。
田村麻呂がラストにステージに残り、自嘲的な表情で笑っているシーンは今も胸に残って重くて痛いです。それはきっと田村麻呂もで、森で一度、剣を交えた時に一度、たった二度しか会っていない阿弖流為のことを思って胸を痛めているはず。彼が笑うシーンがとにかく辛くて「泣いている人よりも泣くのを我慢している人を見る方が悲しい」っていうのはこういうことなのかなとも思いました。
序盤はかなり感情を殺していて、阿弖流為に出会ってから少しずつ人間らしくなり、阿弖流為に嘘をつかれていたと誤解すると動揺し、彼らしくなくなっていく。
ある意味田村麻呂は一番人間らしく、阿弖流為以上に素直でわかりやすかったな。
田村麻呂は、げんげん、三成に続き大好きなキャラになりました。
三上さん本当に本当にお疲れ様でした。良いお芝居でした。
三上真史をこんなに可愛い可愛いと思ったことはないです。年齢を重ねてどんどん可愛くなってませんか?怖いです。
三上荒木はこんなに若くて可愛いのに、どうして鈴木だけ老けていくのか…
しかし、海尊くんの次が田村麻呂とは…自分の英雄を(メリバ以上には)救えない役が続いてるね。

阿弖流為*真志
→こんなハマり役はいるのだろうかってくらい、ハマってた。
ちょっと舞台演技が過剰というか、声を作りすぎなところが気になって最初はちょっと違和感があったけど。汗をダラダラ流しながらの熱演は、観る側にも阿弖流為という人間の器の大きさや強さ、同時に弱さも教えてくれた。
単純に、こういう太陽のようなキャラクターは好きだし、田村麻呂目線で観ていたので阿弖流為はとてもかっこよかった。
毒を盛られた食事さえ続けて食べようとする食いしん坊でw
暴力を嫌い、戦を嫌い、みんなでご飯食べて美味しいねって言えるのが幸せだと。あの蝦夷の状況でそんなことを言うのはバカバカしいことだろう。そんな場合じゃないんだから。
でも、心から思っていることをありのままに伝えられる阿弖流為の素直さの表れだと思う。おにぎり落としちゃってパッパッて払ってたのかわいかったな…。
自分が殺してしまった仲間に一番胸を痛めたのは阿弖流為だろう…辛い。悲しくて力を失くしてほしいって頼んだら、今度は森の一大事に何もできなくなってた。
でも、それで阿弖流為は自分の力ごと自分を受け入れてみんなを護るべきだと自分の運命を受け入れられたんだね。
そんな阿弖流為を見て、田村麻呂も自分を受け入れられたわけだし。
阿弖流為はバカみたいに見えるけど、決してバカじゃなくて人をよく見ていて愛していて、だから人間の悪い面もすべて受け入れてる。
田村麻呂は、逆に人を愛してるから人間の悪い面を受け入れられなかったんだろうな。
体も心もおっきくて武器振り回してる姿がとにかくかっこよかった。
もっと見たいな~と思わせてくれる役者さん。

綿麻呂*安西くん
→次は誰のことを書こうかって考えて、綿麻呂のことを書かないと収まらないなと。
綿麻呂は田村麻呂を慕う部下。るひま年末恒例の始まる前の挨拶が今年は応援団でかわいかったけど、あれ?安西くんがいないぞと。
朝廷側は物語始まってすぐ出番だったので、いなかったみたいです。綿麻呂と天皇のやりとりから始まる物語。
「お前それ、そんなの巻いてたっけ?」
「これは私がモンゴル相撲で優勝した時のものでございます」
「奇遇だな~わしもこれ初代で貰ったやつなんだよwあれ、田村麻呂動揺してる?」
↑田村麻呂を笑わせようとする日替わりネタw

綿麻呂ちゃんはとにかく可愛かったです。
田村麻呂を慕い、田村麻呂が悪く言われるとムッとして言い返したそうな顔や態度をとったり。
彼がそんなに慕う理由は、昔田村麻呂に助けてもらったからだと思い出話を始める…
「パカラッパカラッパカラッ!」
!?
「うわー!馬から落ちてしまった!幼き私が!馬から落ちてしまった!」
!?

そこへ、田村麻呂だけが気付き綿麻呂を探しに来てくれた
「た、たむらまろさまー!めんまろはここです!めんまろはここでございますー!」
怪我をした綿麻呂を自分の馬に乗せた田村麻呂。綿麻呂の馬も怪我をしていて、けれど天皇からの授かりものだから置いてはいけないと自ら馬をひいて帰った田村麻呂。

「それを見て、私はこの方に対する忠義は変わることがないだろう、と思ったのです」

もう、安西くんツッコミどころ満載だねいつも通りだね。気持ち悪い枠になれちゃったほうが笑ってもらえて得だよ大丈夫w
なんでもやる子だなあ…
綿麻呂はその後もずっと田村麻呂のそばで、田村麻呂を見守ってる。
阿弖流為に出会い、変わっていく姿も。
彼はしっかりしているので、桓武天皇が勝手に綿麻呂の刀を抜いて蝦夷の一人を殺した時もひざまずいてその刀を片付けたりしてね。
歌の中で「追いかけたい背中がある 主であり兄のような」と田村麻呂について歌う
田村麻呂は阿弖流為に出会い変わった。桓武天皇に頼み、蝦夷たちに恩義をと説得しに行こうとする。
そんな田村麻呂を見た綿麻呂は急に雰囲気を変え刀を抜いた…

桓武天皇はねぇ、これを恐れていたんですよ」
!?
田村麻呂に刀を向ける綿麻呂。
「人の心を聴かないようにする宝玉があるなら、心を聴かせないようにする宝玉があるとは思わなかったのか?」
田村麻呂が持つものと色違いの玉を取り出す綿麻呂。
「人間不信の割に、簡単に人を信じるんだなぁ?私が笑顔を見せたから?思い出話をしたから?」
動揺する田村麻呂を、弟麻呂が助けに来る。綿麻呂は気絶させられ退場。
弟のように思っていた綿麻呂に裏切られ、ショックを隠せない田村麻呂。そのすぐ後で怪獣のバラードを…あああ…
うん、私もショックを隠せないよ!!!!!言ってたじゃん!!!綿麻呂は田村麻呂を慕ってるって言ってたじゃん!安西このやろー!
実は綿麻呂は王族の子どもで、命を狙われていたので匿われていたと。その問題がなくなり、家へ帰って行った綿麻呂。
思い返せば、天皇は最初も綿麻呂と話していたし、綿麻呂の刀を使ってたし、そのことに驚いたりしない綿麻呂はつまり最初からってことで。
私は、この綿麻呂をどう解釈していいのかとても悩んでる。思い出話も歌も、嘘なのか、そうじゃないのか。
嘘じゃないとも思う。でも、綿麻呂は天皇側、朝廷側の人間であることが前提で。その天皇の考えや綿麻呂の理想から外れていったのは田村麻呂の方だし。
田村麻呂が人間らしくなりはじめ遠くで戦う阿弖流為を見て嬉しそうというか、生き生きした表情をしていた姿を横で見ていた綿麻呂が少し寂しそうに見えたんだよね。
変化してしまったのは田村麻呂の方で、綿麻呂は何も変わらないのかなとも思うし。綿麻呂の忠義とは…?
はあ~しかし騙された。綿麻呂このやろー安西コノヤロー。安西くん嫌いになるかと思ったwでも、それだけ熱演でしたよと言うこと。
高笑いを見て天草四郎を思い出した。彼もほんと、気になる役者さんです。
あー、でもショックだった…三成の後の落差ひどくない?笑
美味しい役もらいましたね。

 母礼*辻本くん
→軍師モレ。母礼で、モレ。
軍師であり全体を考えなくてはならない母礼にとって、阿弖流為は暢気すぎて苛立ちが募る。母礼は阿弖流為に「好きにしろ」と言ってしまう。阿弖流為は彼を信頼しているので言葉のとおり好きに動いた。その結果が、我を失い味方さえ傷つけた。
阿高楽に「お前なら阿弖流為をうまく動かせると思ってお前を軍師にした、阿弖流為はお前を信頼していた」と聞かされて阿弖流為の気持ちを無視したことに気付く母礼
結局、母礼のそういう部分のせいで阿弖流為は母礼に相談せず力を失ったし、その後仲直りできたから不死身ではないことを母礼だけに伝えたんだよね。
母礼が歌うStory「一人じゃないから 君が私を守るから」パロだし笑っちゃいそうなんだけど、この頃には涙が止まらず笑うとか無理でした。
母礼は軍師として序盤厳しそうな感じだから、つじもっちゃんらしくない?と思ったけど、とても優しい人だったのでなるほどな~と思いました。
あの優しい声色でStory歌われるとたまらない…。
ただ、一番厳しいのは母礼の立場だと思います。軍師として、阿弖流為を救う軍略はなく、母礼の代表(リーダー?)として桓武天皇のところに出入りしているのが…
田村麻呂同様、目に光がなく天皇の意志に背くことがないよう人形のような母礼を見て辛くなった。
あんなに明るかった蝦夷たち、今、歌えてますか?
あの最後の出番の一瞬でそれだけ思わせてくれるつじもっちゃん凄いと思いました!よかった!

桓武天皇*コバカツさん
→まさかこういう感じで来るとは…
「弟の怨霊が~怨霊が~」とずっと言ってるめんどくさそうな人だなと思ったら、コバカツさんもエキセントリックな役と言っていたけど
大江戸の吉良、るフェアの後白河法皇みたいな感じだった。主人公じゃないけど、出番は多くないけど、なんか、うああ~って役だ。
蝦夷から交渉に来た阿高楽と蓮杖陀の話をまともに聞く気なんてなくて、自分たちに逆らったくせに何言ってんの?って感じで
綿麻呂の刀で阿奴志己を刺殺し、阿高楽を見て「脚悪いの?じゃあこいつ連れて帰れば?」と言い放ち「早く片付けて、なんか血なまぐさいよ」とまで言う。
最後、綿麻呂のことに言及しつつ新しい側近をつけるという話を田村麻呂にして「次の側近には本音ださせないようにね」なんて。
怖すぎ。コバカツさんもエグい役と言ってたけど、もう作品のラストごとエグいです。
めんまろあんざいとおなじで、コバカツさんも嫌いになる~~!って感じだった。カウコンでやっぱりかっこよかった。うん。
官兵衛からの落差が凄いな…コバカツさんならではの雰囲気の天皇だったな…。

紀小佐見*龍くん
→龍くん…顔に合った役だry
龍くん綺麗だからすごく意地悪そうに見えるんだよね、本当はとっても優しいのに。今回は龍くんの演技と顔立ちとかすべてが合ってて凄かったし良い役だった。
蝦夷の森に火をつけた時は殺意が沸いたけどね。「冬の枯れ木はよく燃えるだろうな」って台詞がもう…
ある意味小物でしかないし最初から嫌な役とはいえ、悪役を貫き通した点で桓武天皇や綿麻呂よりはいいかな。うん。

 入間広成*竹村くん
→ほとんど出番ないけどかわいかったw
紀小佐見の側近?なんだろうけど慕ってなくて、心の中では悪態ついててすっきりしたw
田村麻呂と向き合うと「…かっこいいなぁ~」とか言ってるし(笑)
私が観た会ではないけど、彼が描いた田村麻呂と綿麻呂の似顔絵がツボすぎてww

鷲葛城*原田さん
→原田さんってこういうの出るんだ!?って思ったけど、クリエイターでもあるしなんでもやるんだろうなあ。
私は、彼女(?)の言い分が結構わかる。
母礼の言うこともわかるけど、鷲葛の「誇りはお金にならない」という考え方のおかげで青森が豊かになっていることは事実。
やり方は汚いし「犬」と言われれば「ワン」と鳴くプライドの無さは悲しいしマネはできないけど、否定はしない。
結局、母礼たちもそうやって生きることを選ぶしかなかったわけだし。
鷲葛の良いところは、決して従順ではないところ。誇りを捨てて「ワン」と鳴いても、自らの考えや利益(自分だけではなく青森の)を考えて行動しているところ。
したたかな強さだと思った。将の器とタイトルにあるけど、国のトップではなくとも自分が住んでいる地域のトップが鷲葛なら安心できると私は思う。
原田さんは歌を聴いてて気持ちいいし、綺麗だったしwよかった!!
2幕早々出落ち感凄かったし意外と面白いことやる人なんだ~って知れて楽しかったww

アラハバキ神*高嶺さん
→綺麗だった~~。しかし、アラハバキモーツァルトのヴァルトシュテッテン男爵夫人と同じにおいがする。。。
彼女は、阿弖流為を傍に置きたかったのかなというか。最後、召されていく阿弖流為に対してのアラハバキ様の表情が…うーん。
トートのようだった、と言ってる人がいたけどわかる!!って感じ。
あのような立場から、阿弖流為に惹かれていたんだろうな…やっぱり、連れて行かれちゃったのかな阿弖流為は。

ヨン*みねくん
→なんでヨンなのか、観ている時には気付かなかった。
ヨンの衣装はもののけ姫のサンにそっくりでwでもそれは、アシタカが蝦夷の末裔だからとかそういうことなんだと思ってたら、サンだからヨンなのかと。やられた!
しかも、そこにヨン様を掛けてくるというWパンチ。みねくんじゃなきゃできない!
美しい美脚を惜しげもなくさらしながら「生きろ」とか言ったり。ジブリのパロっていいのかな?w
背中にかかった細いピラピラを手に取って「これなんだと思う?…そうめん」「一回ゆでたやつ」とアドリブも可愛い。
衣装が衣装なので、基本は女性のように足を閉じて座ったりするんだけどそれがまたww
アラハバキ様を呼ぶにはヨンの力が必要で、ヨン自体も静電気的なものは起こせて、それをやぎょうまるにビリビリってやったりしてて鳥ちゃんと仲良くて可愛かった!
でも、座る鳥ちゃんに跨って顔に股間を押し付けた結果、スパッツ越しにぺたっと股間に触れられるという一連の流れがww
しかもその後、わーって股間を隠しながら退いたヨンと股間を触った右手を見つめるやぎょうまる…面白いし可愛いしで…和む。
ヨンはアラハバキ様が大好きだけど、阿弖流為のことだって大好きなんだよなー。アラハバキ様が好きすぎて阿弖流為に冷たくすることもあるけど。
ヨンについて深く考えるには、あと2回くらい観ないとわからない気がする。
阿弖流為さえいなければ」というのは半分本当で半分嘘だと思う。だって、阿弖流為が自分を犠牲にするつもりだって知ってあんなに必死になってくれたんだもん。

伊佐西古*前山くん
→ガランチードでの劇団員のイメージが強くてうーんて感じだったけど、今回は良い役だった!
蝦夷達の中には仲間を傷つけた阿弖流為に対してちょっと不信感を持ってしまう人もいたけど、イサセコはずっと阿弖流為の味方をしてくれてた!うれしい!
背中に何背負ってんだろって思ってたら、まさかの子どもたち…!とと様って感じには見えないけどw
嫁と子どもの為なら頑張れるっていう役は良かったと思うし、基本ぴょんぴょん飛び跳ねててかわいかった。最後まで阿弖流為を見守ってくれてありがとう。

物部矢仰丸*鳥ちゃん
→鳥ちゃんもっと見たかったよ~。阿弖流為と仲良しで、あてるいーって走っていってぴょんって抱きついて降りて、阿弖流為のお腹をぽんってするところとか真志と鳥ちゃんの仲の良さが伝わってくるw
物部氏もなかなか厳しい状況。物部兄弟のやりとりが…経済的に厳しくなりながらも本当のことを言わずに笑顔で蝦夷たちを勇気づけようとした矢仰丸が健気で可愛く、辛かった。
彼もまた、気になる役者さん。

郷手&鶉*こばけんさん
→二役こなしていました。一幕では阿弖流為のおかげで蝦夷達の仲間になった郷手。すぐ死んじゃうけどw
「えっ俺死にそうなの!?一幕も終わってないのに!?」って言ってすぐ死ぬの笑えるんだけど、阿弖流為のせいだから笑えないしこの微妙な空気感るひまだなって思いました。
こばけんさんがいることによる年末るひまらしい安定感半端ない。

鶫*井深くん
→ゴリラ連れたオカマでした。はい。
井深くんは今回こばけんさん演じる鶉と双子設定。無理があるww
エチュードの時には「田中邦衛パウダー」を掛けられて田中邦衛さんのモノマネを強要されるも「元に戻るパウダー」を掛けてもらえずというww
しかし、可愛かった。あの衣装が似合うのは井深くんだけ!
「人前で双子って言わないで!僕たちなんて呼ばれてるか知ってる?ゴリラ連れたオカマだよ!」

他にも触れたい人はたくさんいるのですが、これ以上書くと長くなりすぎるのでやめます!
今回はほぼセンターの2列目という最高の席での観劇で、とにかく役者の表情はよく見えるし素晴らしかったけどるひま年末ってこんなだった?というような容赦ない話だったせいで二部は心が荒んでユニットどころではなく(笑)

とりあえず、この素晴らしいお芝居についてすべて吐き出してしまいたかった。

泣いている人を見るより、泣くのを我慢している人を見る方が辛く悲しくなる、という言葉に納得させられた。

笑い納めではなく泣き納めになりましたが、久々にキャラクターにこんなにも入れ込みました。楽しかった。