Open Sesame!

日々の観劇の感想や感じたこと

2015/11/27 「黒執事-地に燃えるリコリス-」ソワレ 赤坂actシアター

 

黒執事-地に燃えるリコリス2015-

 


去年も観ているのでストーリーの流れや結末は知っていました。
けど、演出や大道具、装飾が結構変わっていたのでなんか…うおおおってなりました。

actシアターだからできるのかわからないけど、全体的に華美で派手な感じになっていて感動した。
今回の方が断然いいです!私が初めて観た黒執事もactだったからその時を思い出した。
音響も、ブルーシアターに比べればマシ!(それでも酷かったけど、会場のせい?)
ロミジュリも同じ会場で録音でやってても、もっと綺麗に聴こえたのは席の問題かな?
なにはともあれ、よりミュージカルらしくなってくれてうれしかったです。

 

ストーリーはもう今更感想を書くまでもないので、役者個人について語ろうとしたら…
思い入れのある人がたくさんいて、また長くなってしまいました。

 

セバスチャン@古川くん

→初演から四作も務めた松下セバスからのバトンを受け取り、それも去年やった演目を再演でなんて、ハードルが高過ぎるのでは?と。

どうしても、二代目と初代は比べて見てしまうので。
それが、もう、素晴らしかったです。
特別ファンです!というわけではないのですが、古川君のことは「エリザのルドルフ」「ロミジュリのロミオ」「レディベスのフェリペ」と大きな舞台でソロがあるような役で何度も見ています。
だからこそ声量は大丈夫か、演技は大丈夫か、そもそもが歌手である松下くんと力量やテクニックで比べられてしまうんじゃないか
そうなることで、演じることに委縮してしまうんじゃないか、松下くんの演技に引っ張られてしまうんじゃないか、と勝手な心配をしてました。

けれど、舞台を観て「彼は役者なんだなあ」と納得させて頂きました。

思えば、初めての帝国劇場であるエリザではトリプルキャストで歌うまの平方さんと比べられ

ロミジュリでは城田君や柿澤さんと比べられ、レディベスでは再び平方さんと比べられ…

それよりも前に、テニミュでは二代目三代目と頑張ってきた相葉君と比べられ…
そんな環境にずっとずっと身を置いてきた彼が、今更誰かと比べられることで演技を左右されるなんてことはないんだろうな、と。

どうにも弱々しく儚いイメージが強かったのですが、セバスチャンで見事にそのイメージを払拭してくれた。
古川セバスを観ていて一番思ったのは、あまり小野Dを意識していないなってこと。
基本的なトーンはもちろん近いんだけど、松下くんは初演はともかく(それでも寄せてきてたけど)千の魂~の当たりはかなり意識していたと思う。
それこそ、リコリスで松下セバスらしさがぐんっと開花した気がした。それは、アニメにある話だから違いをより感じたってことなのかもしれないけど。

松下セバスとの違いで特に感じるのは、古川セバスは『役者』が演じてるんだなということ。
演技は「声」だけじゃない。とにかく全身でセバスチャンという生き物を演じてる。
バレエが基盤のダンスの素養がある分、繊細で美しくて細身の古川セバスの良さが出てる。
怪しい動き、仕草、表情…いろんな舞台で培ってきた、彼の役作りなんだと。

 

松下セバスの悪魔らしさは、シエルへの枯渇。
古川セバスから漂う悪魔らしさは、シエルへの余裕。

 

どちらも悪魔を解釈して演じてるんだなって思うと感動する。
後は何より、松下セバスは面白くて彼の人柄が出ていて、笑いに理解のありそうなセバスだったなとw
古川セバスは静かで笑いに対してもちょっと冷めていそうでありつつ、必要とあらば面白いこともやってみせる、そんな感じでした。だから、古川セバスの方がグレルにも冷たかった気がする。

どちらも彼等が作り上げたスタイルで、しっかりとセバスチャンでありながらこれだけ違う魅せ方ができるのかと感動しました。

あと、古川セバスの腰の高さ足の長さ細さ顔の小ささが人間離れしてて、立つだけで異次元の存在。見惚れます。

初めてルドルフ演じてた時なんてもうずいぶん前だけど、歌も上手になったなあとか色々考えてしまいました。

とにかく、古川セバス素晴らしいので一度は見てほしいです!!!


シエル@なゆたくん
→もう…もう…感動しました…
シエルの「出して」から始まって、そこから歌や台詞が続いて…私はそれだけで涙が出てしまった。

去年のなゆた坊ちゃまといえば、とにかく小さく、子どもが台詞を言わされてるって感じで…良く言えば及第点、でも正直なところ変な発声や語尾の癖が気になって仕方ないので次は変えて欲しいと思っていました。

それが、本当に…子どもの成長というのは早いですね。まず見た目は小さな坊ちゃまではなくフィニとそう変わらない身長まで伸びててどう頑張っても片手抱っこはきついなって感じになっていました。
でも、成長は見た目だけじゃない。
第一声から、台詞や歌がちゃんと”シエル”だった!
この一年の間に、こんなに成長するなんて、と。

多少癖は残っているけど、そこにいるのは台詞を言わされる子どもじゃない。
「なゆたくんが演じるシエル」であり「子どもながらにファントムハイブ家の当主として英国女王に仕える番犬」なんだなって。

彼なりに解釈してシエルを演じているのが台詞の端々から伝わってきて感涙しました。
もちろん去年も彼なりに考えながら演じていたのでしょうけど、初舞台への戸惑いが多く感じられたのと比べ、余裕もあった。それがまたシエルらしさにつながる。
歌もうまいとは言い難いけど、去年よりずっとずっと良い。
最後のディンドンとか本当に本当に切なくなった。
なゆた坊ちゃまがあまりにしっかり背筋を伸ばして堂々と演じているものだから、最後のアンダーテイカーの「その指輪はまるで首輪のようだねぇ」という台詞が余計に重く、重く感じた。
子どもなのに、子どもではいられない哀しさを。

そして、セバスに対し「お前だけは僕を裏切るな!」と言う時の立ち姿。
あの衣装、あの帽子、杖、台詞。それが全部似合って、似合っているからこそ悲しくて、そこに立ってる。そのシルエットの堂々とした姿がシエルで…
ほんと、お母さんかって感じなんですけどすごく成長したなとまたここでも泣いてしまったわけです。

初演を観た人には、ぜひそこを注目してほしいなと思える再演でした。

続投の人も多いのでこれと言って変わったところはないのですが、気付いたところとかを。

 

メイリン坂田しおりさん
→さっそくアレなんですけど、代わった意味あるのかな~?というか、メイリンが変わるたびに思うことなんだけど。
今回のメイリンの人はちょっと声が無理して出してる感がすごくて気になってしまった。
声以外はよかったな~。ダンスもかわいらしくて!
セラミュでヴィーナスやってた子なんだよね。せっかくのあのオレンジハイヒールでさえ霞まなかったという美脚が拝めなかったのが残念だ。
可愛い顔も見えないし、メイリン役は女の子にとってあまり美味しい役ではないのかもしれないね。

 

チャールズ・グレイ@矢田ちゃん
→矢田ちゃんのグレイ良かったけど、惜しいのは声の相性が広瀬くんとあまり良くないっぽいところかな…
太田&広瀬の声の相性が最高だったので矢田ちゃんの声質のせいか二人で歌うと矢田ちゃんの声聞こえにくくなっちゃうね…声量はあるんだけど。
これはもう完全に相性の問題かと。
演技としては、太田グレイよりも性格悪そうというかw太田グレイはキャッチ―でコミカル。
矢田グレイは意地悪って感じだったw意地悪って言うか、意地が悪そうというかww
セバスの作ったお菓子を食べて「まあまあ」っていうところがいかにもらしい感じで。
顔立ちが派手だしきれいだし、歌もうまいのでもっとまたグレイが出てくる時には続投だといいな~

 

ラウ@荒木
→荒木だな~という感じです。歌に関しては、アーティストとしても活動してるわけだけど荒木さんの歌はこれが上限なのか…
うーん。声量はそこそこあるんだけど、だからこそ音程がふわふわしてるのが気になって気になって。
ジャックザリッパーが編曲されてわーっと歌わなくなったのは、荒木のためか…?と勘繰りしてしまう。
声質もいいし、声量もあるし、もうちょっと頑張れればなあ…ガランチードの時もそうだけどとにかく音程が定まってないのが不安になるのでもうちょいそこは頑張ってほしいな。変なビブラートなら使わずに歌っちゃう方が聴きやすいと思う。これは矢田ちゃんにも言えるけど、ビブラートきかせればいいってもんじゃないよね。
降りやまぬ雨~の「あ~や~ま~ち~」のところ聴いてて声出るか、震えないか、通るかって心配になる(笑)
芝居は良いんだけど。
自分の台詞がない時でもちゃんと芝居できるところは、相変わらずいいなって思う。ちょこまか動いてて、かといってメインで台詞をしゃべっている人の邪魔にならない塩梅で動ける。そういうところが好きです。
スッと細めた目の冷たさはいつ見てもたまらないなあ…ラウはいったい何をどこまで知っているんだい?と聞きたくなります。
あと、ちょいちょいマダムと仲良しなのが見ていて楽しいです。

 

 

マダム@AKANEさん
→相変わらず素晴らしくて、これといって述べる必要はないんですけれども…
道に迷わないように、の曲の最後「ただいま おかえり いつもの…キス」ってキスのところを強調してというか強く台詞のように発音していてゾクっとした。
その方がグレルの「奥様…(おどおど)」が引き立つし、マダムには何があるんだ!?って感じがする。


グレル@たっくん
→たっくんの声は音響の悪いブルーシアターとアクトシアターでは聴き取りづらいね!!
それでも、素晴らしいダンスは変わらず。
「ハァたし、女優なの」のところも前回同様ぞくぞくする。
女性ダンサー引き連れて踊るシーンでは、今回は男性もいて。より、たっくんグレルの魅力が引き立つ。
何より、振付変わったよね?前よりダンスが激しくなった!美しい人のダンスって何時間でも観ていたい。
松下セバスより冷たい古川セバスにあしらわれているところも良いです。


ドルイットとアバハン@ひとまとめ
→もうここはまとめちゃうw
アバハンの最初の登場時のネタパワーアップしてて最高でした。
アバーラインは変態って言われるのに、ハンクスくんはモテモテなのねw
「おいしー」がまた聞けてそれが嬉しかったくらいプレミア感あるアバハン。
通り名ネタは「爆笑コメディ アバーライン」というタイトルの映画の宣伝ネタ。
途中まではかっこよかったのに、爆笑コメディとついたせいで台無しにw


ドルイットは基本的にパワーアップしていて、もう誰にも勝てないんじゃないかw
最初に出演した時、また出たいドルイットやりたいとスタッフさんに打ち上げでアピールしまくったそうだけど、ドルイットファンも望んでました!
ヒデイット最高すぎて私は美の化身だけ一時間くらい聴いていたいよ…
あの「アーン」は稽古場の雰囲気が良くなかったからアドリブで最初はやったと聞いてめちゃくちゃびっくり。ヒデ様もそういうことするんですね。
今回もしっかりオペラグラス使ってじっくり見ました。
パーティのシーンでは、ずいぶんとパワーアップしていらしてwもうあなたは女性と踊るのやめた方がいいのではww
個人でアピールしまくりのドルイット。ソロで踊っちゃうドルイット。かわいい。
シエルを見つけて近づこうとするも阻まれまくるドルイット。かわいい。
「君には少し早いかもしれないよ」の辺りで気持ち悪くてかなりぞわっとするwでも、そんなにかわいい駒鳥だったのに手を付けずに売るんだなと思ってみたりして。
ドルイットが倒されみんなバタバタと倒れているところにアバハン到着。
意識があるかを確認する仕草の手本を見せるアバーラインw
女性に馬乗りになって確認する…
「近くないですか!?意識有りました!?」
「ああ、嫌な顔をされた」

「この人でやってみろ!」ドルイットを指さすアバーラインwww
「いきなりハードル高くないですか!」
と、ドルイットに覆いかぶさるハンクス…
と、ガバっと抱きついて腰を押し付けるドルイットwwこわいこわすぎるwwww


逮捕後の流れでは、ヒデイットがしゅんりーのアドリブ?に笑ってしまい笑ったまま台詞を言って突っ込まれてたww
いやこの三人最高だな…またDVD買っちゃうな…

 


今回の再演を見て思ったのは、松下君は自分のセバスチャンを作り上げ、表現し、座長としてそこにいたんだなっていうこと。
古川セバスももちろんよかったんだけど、やっぱりそこは4回もやってきた松下君とは違うね。
リーダーシップ取れるタイプだと思うし、なんというか、独自の?wセバスを作ってたよね。

関西人の松下君が演じるセバスチャンという彼にしかできないセバスチャンを、そこに確立していたんだなと。
そう思うと、もうセバスでできることを彼はやりきっての役替わりかなって。
バトンを渡していい、っていうところまでやりきったんだと。
去年急遽一回増やして二回観ておいてよかったなと。つくづく実感しました。


改めて、松下セバスチャンお疲れ様でした。

そして、せっかく素晴らしい古川セバスチャンが降臨したので、
今度は何か新作をやってほしい!待っています!