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日々の観劇の感想や感じたこと

6/26「劇団シャイニング 天下無敵の忍び道」シアターGロッソ


うたのプリンスさまの派生である劇団シャイニングをさらに派生させた異色の舞台。
元のドラマCDではプリンスたちが演じているのを、二代目という形で演じる。
原作ファンにかなり気を遣った企画に、そういうやり方もあるのだなと感心した。
さすがにうたプリ自体はかなり有名なので知っているけれど、アニメは数話ちらっと見たことがある程度。
身近にプリンセスがいたりするのでキャラソンはちょこちょこ聴いている。

そんな私でも、じゅうぶんに楽しめる作品でした!!


あらすじは、謝意忍具流の忍者である音也衛門とセシル丸。
そして早乙女流の忍者、真影と翔ノ助。対立する二つの流派の前に現れる、羅刹流の忍者たち。
羅刹流は、二つの流派を滅ぼし忍びの世界を牛耳ることで世界さえ手に入れようとしていた。
何故か漏れている情報、襲撃にあい失う仲間──
敵の敵は味方、昨日の敵は今日の仲間。
4人は流派の壁を越え力を合わせ、敵を倒す。
2時間ノンストップで行われるヒーローショーのような、勧善懲悪のわかりやすいお話でした。さすがGロッソ。
敵側をあまり掘り下げないことで、主役はあくまで4人という構成にしているのもポイントが高い。

 

☆謝意忍具流☆
この舞台、まさか泣くとは思っていなくてハンカチを膝に用意していなかったことを後悔した。
それはもう確実に、謝意忍具流の二人のせいです。本当に泣かされた。
小澤廉くん演じる音也衛門(なんて発音しにくい名前なんだ)と、横井翔二郎くん演じるセシル丸。
二人は平野勲人さん演じる才念先生の元で修行していた。
二人の出会いは一年前。セシル丸は道で行き倒れていた。そんな彼を音也衛門が助けてくれたのだ。
異国の者であるセシル丸は、おにぎりを食べるのも、おかかを食べるのも初めてだった。その美味しさと音也衛門の優しさに感動した。
「セシル」と名乗ると、音也衛門がセシルはこの国では「世知る」世を知ると書くのだと教えてくれて日本らしいセシル丸という名前をくれた。嬉しかった。
セシル丸は、いつでも隣でにこにこ笑ってくれる音也衛門とずっと一緒にいたいと思っていた。

しかし、実はセシル丸は自国に帰るために羅刹流に協力している間者であり情報を漏らしていた。
この時に、音也衛門が全部ウソだったの?と問いかける。
「おにぎりが美味しいって言ったのも?」
「…イエス
「おかかが美味しいって言ったのも?」
「…イエス
全部ウソだったと答えるセシル丸の表情はどう見たって嘘じゃなかったって顔で…
セシル丸って名前をつけてもらえたのだって嬉しかったのに「わたしはセシル」って名乗るのも…
切なすぎて涙が次から次へと。
セシル丸が回想する記憶の音也衛門の笑顔が眩しいのも、その切なさをさらに掻き立てた。

廉くん=笑顔と言ってもいいほど、彼自身笑顔のイメージが強い。
そりゃあ1年間も隣であんな笑顔を向けられて優しくされたらギスギスしている羅刹流よりいいに決まってるよ…
そして、だからこそそんな廉くん…いや、音也衛門がもう裏切り者の自分にはもう笑いかけてくれないかもしれないと思ったら辛いだろう。

羅刹流はセシル丸を試すために、才念先生に留めを刺させる。
才念は音也衛門を育ててくれた大切な人。そのことで音也衛門もセシル丸を討つ覚悟を決めるが、刀を振りおろし切れない。
最後は、実は才念が生きていたこと、セシル丸がその手助けをしていたこと、さらには才念先生はすべてを知っていたことで大団円。
ああ、よかった(涙)

廉くんは生で見たのが初めてだったけど、やっぱり可愛いし笑顔が輝いているし声が聴き取りやすくて良い。
横井くんは、未知数だったのでどうかな?と思っていたけど、びっくりする小顔具合とスタイルの良さ、そしてその初々しさがセシル丸と相まってとても良かった。
あと何気に才念役の人がおもしろい人で和ませてくれるのがとても笑えたw


☆早乙女流☆

うえちゃん演じる翔ノ助と和田君演じる真影は水と油。
仲間を重んじ後輩を大事にしている翔ノ助は、一人でいようとする真影が理解できないながらも声を掛けたり気に掛けていた。

しかし、あまりにも頑なな真影。
その理由は、貧しい家に生まれ病気の妹の為に忍になる道を選んだ過去。
賢い真影ならばもっと別の道があったかもしれないのにと謝る父に、仕方のないことと受け入れる姿勢を見せる。

大切な家族のために、個の自分は捨てた。
失う悲しみを味わうくらいなら、最初から持たぬ方がいい。
任務を遂行するために自分がある、そのためなら命を捨てても構わん。

そう言ってのける真影asわだまさなり…は、長谷部…
ちょっともう…また…命を大事にしてくれ…
直近で八犬伝を観ている人には小文吾も過ったのではなかろうか。

戦いの中で、自分を慕ってくれる後輩を失った翔ノ助。
どんな仲間も大事に思う彼と、「個が強ければ組織は成り立つ」という考えの真影と言い合いになる。
真影が「お前に何がわかる!」と、貧しさのために家族のために、個を捨て未来を捨てた自分の気持ちがわかるのかと。
激しく吐露する場面は、おいおい真影ちょっと情緒不安定すぎでは?と思ったけれど、元々安定もしていなかったのだろう。
誰かのために我慢できてしまう不器用で優しい真影が、心を捨てるなんてできるわけもなく。
とはいえ、言ってもいないんだから真影の気持ちがわかるわけないだろうとも思うが。

しかし、翔ノ助は優しいので羅刹流との戦いの最中真影をかばって傷を負う。任務遂行を重んじる真影が、襲撃された城へと迎えるように。
それは、翔ノ助が真影を仲間としてとして大事に思っているからこそ。
そんな翔ノ助に心を打たれた真影は、任務遂行のために城に向かいそこにいた羅刹流忍者大羅と戦う。
仲間を守るため、翔ノ助の元へ戻るために。
本当は心を捨てるなんてできないくせに、そんな不器用で可哀想で面倒な真影を翔ノ助が変えた。
そして再び戻ると、ボロボロになった翔ノ助に「お前が必要だ」と仲間として認めたことを伝え共闘する。
戦いが終われば「動くな馬鹿者」「動かせたのはお前だろ!」と仲良く言い合い。笑
マイクに入っていない小さなひそひそ声で真影が「そこに座っていろ」って言っているのが聴こえて微笑ましかった。
ちゃんとお礼を言い合ったり、お互いを認めたりと平和な終わりを迎えて嬉しかった。

役者的なことを言うと、どちらもそうだろうなという役だったので意外性はなく。
というか、これは和田くんとうえちゃんでは?笑 くらいの。
二人の関係性を思うと、見ているこっちも楽しく思えててくる。仲良しさん。
和田君はまたも本人とはかけ離れたムスッとした役。命を大事にできない、けれどとても優しい不器用な人。
滑舌の甘さと殺陣のふわっと加減がちょっと気になったので直してもらえると嬉しいな。それにしても、長谷部といいここまで私が好きそうなキャラを演じるか。
うえちゃんは元気ですばしこくて、美咲っぽいなと思いました。ロスモワの時を思い出すと言うか、優秀なカウンセラー(笑)


★羅刹流★

なにげに切なかった流派です。
鯛造くん演じる信羅は、いわゆるヒャッハー系の悪役で羅刹を盲信している。自分が一番の従者でありたい、信頼されていたい。
寿大くん演じる大羅は、大きく強く賢く優しくて、信羅を仲間として大事に思っている。

大羅は信羅を大切に思うあまり、戦闘中助けてしまう。信羅からすれば余計なことだし、彼が羅刹に褒められるのも嫌。
しかし大羅はそう思われていようと仲間が大事だ。
真影との戦闘中「守りたいものがあるのは俺も同じだ」と戦っていて、こちらも胸を打たれた。

信羅もまた、大羅の槍が形見として渡された時、切なげな表情をした。
それでも一番は羅刹なのでそのために戦うが、羅刹が死んでしまう。
4人は信羅を見逃すと言ったが、彼自身はそれを良しとしない。羅刹のいない世界に意味はないからだ。
彼はあの世で羅刹様の役に立つのだとヒャッハーしながら自分の腹を武器で何度も突き刺し、最後は喉を掻き切って死んでいった。
プリンセスたちはこの死に様をどう思ったかちょっと考えてしまったが、個人的には派生作品においてオリキャラが潔く死ぬと言うのは好感が持てる。
あくまで派生作品なので、本筋に影響したりなんらかの可能性は無い方が良いのだ。

ある程度かわいそうで、けれどあまり余韻を残さない。
悪を描きすぎるとどちらに感情移入していいのかわからなくなるので、あくまで主役は4人とした構成に乾杯。

鯛ちゃんの殺陣はさすがでした。4人だけ出ていた時には気にならなかった和田君の殺陣が、鯛ちゃんの登場により一気に…ああ…となりました(笑)
鋭く強い殺陣は、かっこいいとしか言いようがない。悪役にハマっていた。可愛いイメージが強かったけど、こういう役も合っているな~と思わせてくれた。
寿大くんは生で見るのが初めてだったけど、で、でかい…あの大きい体ででかい槍を操るのを間近で見るとこちらも命の危険を感じますね。

 

ラストのレビューはあまりにもいきなり始まるからびっくり。
ペンライトの準備があわあわしたので、これから観に行く人は取り出しやすいところに置いておくと良いと思う(笑)
元の曲がどうなのかとか全然わからないけど、とりあえず楽しかった。
促されるままペンライトを振り、し・の・び!と慣れないながらも一緒に動いて、扇子をひらひらさせるりんりんにキャッキャし、仲良しな面々を見てにこにこした。
こういうライブパートというのはあまり好きな方ではないんだけど、やっぱり席が良いと楽しめるなと思いました。
音也衛門の手を引っ張ったり背中を押したりするセシル丸が可愛い。
「早く登ってこいよ~!」って真影に向かってジェスチャーする翔ノ助も、翔ノ助のおでこをぺしぺし叩く真影も可愛い。

 

楽しいお芝居見て、おまけにイケメンがキラキラしているところも見られて幸せ~ってなれる舞台でした。

 

ちなみに、この日物販で買ったペンライトが途中で故障し青にしていたはずが赤から変わらなくなり、おまけに電源も落とせなくなり。
終わった後も、ずっと赤く発光し「お前いつまで光らせてんだよ」「音也衛門の過激派かよ」みたいな状態でしたが(笑)、スタッフさんに伝えたところ快く交換してもらえました。
全体的にスタッフさんが優しいし迅速スムーズ丁寧という感じでその点も個人的に良かったなと思いました。