Open Sesame!

日々の観劇の感想や感じたこと

5/21「ライブスペクタクルNARUTO~暁の調べ~」

 

 

「久しぶりだな木葉丸!二年半ぶりだってばよ!」


ナルト登場シーンのたった一言で涙。
これぞ2.5次元!の醍醐味を味わいました!


初めてのナルステは、まさに暁の”調べ”といったところで、OPから暁が歌うという幕開け。

今回はキャストに知っている名前も多く、それもそのはずで良知さんや亮輔くん、玲くんにせしるさんとミューでよく見る方、歌の上手な方がたくさん!
とはいえ、初演を配信で観た印象からそんなに歌うとは思っていませんでしたが今回はミュージカルと銘打ってもいいのではないかと思うほど歌っていました。
これだけ駆け足であの膨大な物語を進めるとなると、歌の力があった方が説得力も迫力もあるのかなと思う。

今回は二部、疾風伝から始まった。
映像と共に次々と登場するキャラクターたちに感極まり、まだろくに台詞を喋ってもいないうちから感動。
ナルトは、私にとって初めてハマった少年漫画で思い入れも強くナルステをやると聞いたときは怖くて初演も再演も観に行けなかった。
でも、広大くんの笑顔のキラキラはナルトのエネルギーそのものだった。
一人ずつ出てきてポーズを決めて、それだけで「あ~みんな3次元に存在してる…尊い…」と実感できることが2.5次元の幸せ。


物語は、カカシの代理であるヤマトを隊長とした新カカシ班誕生のところから。

サクラちゃん役の伊藤優衣ちゃんは、ナルステを映像で観た時が初見だったのだけど絶妙な可愛さ。美人系ではなく、かといってロリでもいけない。普通のようでいて可愛くなければならない難しい位置にいるキャラ。
生で見ると思っていたよりずっと華奢でびっくりした。その細さが、カカシ班唯一の女の子なのだなと感じるし、そのうえでのサクラちゃんの気丈さに感動する。
「ナルトのことは許してあげて」と言ってサイを殴り「私のことは許さなくていいから」の一言は本当に痺れる。
また、声も良くて「しゃーんなろー!」もばっちりハマっていた。
これ以上ないキャスティング。サクラちゃん大好きです。

ヤマト役が玲くんと発表された時はなぜ?と思ったのだけど、実際舞台を観て納得。
歌うためのキャストであることと、身長もちょうど良かった。
ミューではないのによく歌うなと感じたこの舞台の中で、もっとも「なぜこれを歌にした!?」の場面がヤマトの歌でした。笑
けれど、それが逆に良い意味で抜け感があり、玲くんということもあって笑えて和めるシーンになっていた。
かっこいいけど、ちょっと笑える。そういう玲くんのカラーが出ていたように思う。

サイ役のきたむー。
人間離れした真っ白な肌を持つサイを演じたきたむーは、彼自身肌の白さと髪の黒さのコントラストが綺麗な人なのでぴったりハマっていました。
サクラちゃんに向かってにこやかに言い放つ「僕は好きですよ。感じのいいブス」最高でした。

サイはちゃんと見せ場もあり、兄との絆、ナルトやサクラとの仲間としての心の芽生え。
時間の都合によりそれらがあまりにもスピーディーで、サイの心変わり早いな!?って感じでしたけど、これくらいサクっとしてると逆に見やすいなとも思う。
サイがお兄さんのことを歌う歌では涙が…。


大蛇丸のアジトでの、サスケとの再会。
大蛇丸が”私のサスケくん”と呼ぶと「オレの前で自分のものみてーにサスケの名を口にすんじゃねーってばよ!!」と返すナルトと、
イタチへの憎しみが成就されれば自分の身体などどうなっても構わないサスケという対比が辛い。
腕がもがれりゃ~のあの物凄い台詞も聞けて満足。

今回からカブト役が亮輔くんになりましたが、彼が歌うとさすがだなと。
よく通る綺麗で癖のない声と、カブトのうさんくささは亮輔くんに合っている(良い意味で!)と思います。
掌を青く照らすという仕掛けも好きです。

 

二幕は、正直イタチVSサスケが全て持って行ってしまった気がして記憶が定かではありません。
涙ですべて流れていってしまいました。


カカシ先生のお見舞いに行くナルト、サクラちゃん、サイの三人が可愛い。
サイの「ブス」発言が和む感じで使われていて、なんとなく緊張感がほぐれてよかったし仲良くなっているのがわかって微笑ましかった。

そして、ただ何も考えず寝ていたわけではないカカシ。
カカシ先生役の君沢さんはテニミュのオサムちゃんの時といい、気だるいんだけどかっこいいという役柄にハマりすぎなうえ顔があれだけかっこいいのはずるいと思う。
あの綺麗な顔を前髪とマスクでほぼ覆ってしまうというなんて…贅沢すぎます。
声が井上さんそっくりで、あれ?井上さんが喋った?と思う瞬間があるほどでした。

カカシ先生の助言により修行をするナルト。
演出と仕掛けがなかなか面白くて、良かった。
サスケを連れ戻すために集まった面子の中にシノがちゃんといたのが嬉しかったなあ。

その頃、サスケは大蛇丸を殺して蛇を結成。
水月役の萩尾くんの声がそれらしいのと、歌がうまくてよかった。
七木奏音ちゃんはライチ光クラブに続いて二度目。相変わらずの美人できれいな顔。
普段はぽわ~んとした子なのに、役に入ると急に別人になってしまうところが魅力的だと思う。
声も良いし、美人で、むちっとした太腿がサクラちゃんとはまた別の香燐らしい色っぽさがあって素晴らしい。
重吾役の山口さんも、あの短い時間の中で難しい役どころをしっかり演じられていたなという印象。
このメンバーに関してはどうしても時間が短くて本当に自己紹介で終わってしまった感じ。
良いキャストだったと思うから、次があるなら出てほしいなあ。

デイダラ戦は…こう、表現の限界というものを感じました(笑)
でも、役者さんたちの熱意を感じる場面でもあった。
デイダラ戦、飛段角都戦、サソリ戦辺りを細かく描いた話ならまた違った演出で観られたんだろうにな~そこは惜しい。

そして、サスケを追うナルトとイタチが出会い、話をする。
何を話していたのかは明かされないまま、イタチとサスケの戦いへ。

今作のクライマックスは、うちは兄弟の対決。

どこまで描かれるのかな~?なんて軽く考えていたのでまさか二人の決着までやるとは思わず心の準備もないままに、イタチの死を目の当たりにすることになってしまいました。

内容は知っているのに、この先どうなるかは知っているのに、目の前で起こっているのに、なにもできないままただ見守るしかない歯がゆさを感じてしまった。
イタチの余裕を感じさせる演出も良くて、周囲の観客が息を飲んで見守っているのがわかるほど見応えのあるシーンでした。

サスケ役の流司くんを生で見るのは初めてで、これまでに財前や久我、加州などは映像で見たことがありました。
が、この子は生で見る方が断然良いと思った。
もちろん、他の役者さんも含めて舞台は実際に劇場に足を運んで観る以上に良いことはないけれど、それでも。
独特の空気を作り出すのがうまい役者だと感じた。
演じることに照れがないというか、役に入る集中力があるというか。
サスケ自身が疾風伝に入ってからはよりダークサイドで厨二な雰囲気だけど、それも相まってかまるでV系バンドのボーカルのようなサスケだった(褒めています)。
そして、とにかくサスケとして生きてくれているというのがひしひしと伝わってきた。
イタチを殺した、と込み上げる歓喜から一変する絶望の表現があまりにも良くて、サスケが生きている…!と思いました。

「許せ、サスケ」とは声に出さないまま、イタチは死んでしまう。
疲れ果てたサスケの前に現れたマダラ。自身の意思以外で発動する天照と、初めて知るあの日の真実。

イタチが後ろから登場した時、ああうちは兄弟で歌うんだなとわかって先走った涙が。

ここまで、さすがの良知さんビブラートだなって思いながら彼の歌を聴いていたんですけど、この時だけは違うニュアンスでとても優しく歌うものだから余計に涙が出てしまった。
本当はとてもとても優しくて、家族想いで、何より弟を大切にしてくれるイタチの真実。
キャラソン等がないナルトの世界で、まさかイタチとサスケがデュエットする日がくるなんて思っていなかった。

正直、ジャンプを読みながら『一族殺した兄さん憎い殺す→本当は兄さん優しかったそれなのにこんなことをさせた木葉潰す』
という流れが、おいおいサスケェ!って思ってたんですけど、ここまで一息に見せられるとはしょられていても流れがわかりやすいので、
今までは、一族を殺したイタチが憎い殺すと身も心も友さえも犠牲にして強くなり戦ってきた。
それなのに、憎んできたはずのイタチは自分を想ってくれる優しく強い兄さんのままだった。
本当はサスケだってとても優しい子で、木葉潰しなんて縁のない子だったはず。
けれど、全てを捨て憎しみを糧に生きてきたサスケはまた何かを憎まずにはいられなかったのだ、それが彼の生を支える軸となってしまったんだなと実感させられた。

イタチが「許せ、サスケ」と今度は本当に声を出して伝えた後、崩れ落ちるように歌うサスケ。

"兄さんはあの時、泣いてた"

掠れたサスケの声がまた切なさを掻き立てて、もう拭うのも諦めるほど泣けた。

その後、うちは兄弟の戦いが始まる前のナルトとイタチの会話が明かされる。
なぜサスケにこだわるのか、そう問われたナルトが「少なくともお前なんかより、アイツのことを兄弟だと思ってるからだ」と答えるのは、イタチの心情を思うと苦しい。
まだ純粋なサスケは何色にでも染まる、もしサスケが木葉を襲撃するようなことがあれば里とサスケどちらを取るのかと問われれば、両方と答える。
一族かサスケか、苦しい選択を迫られ弟を救ったイタチからしてみれば考えられない答えだっただろう。
「バカのままじゃ…この世界生き辛いのが現実だ」そう言われたナルトが、

「賢いってのがそういうことなら…オレは一生バカでいい…一人でももっとスゲー術あみ出して、サスケはぜってー助ける!」

「まっすぐ自分の言葉は曲げねぇ。それがオレの忍道だ!」

そう言って、歌い始めたナルトがあまりにも眩しくて。
ああ、彼はどうしてこんなにかっこいいのか。ヒーローだ。光のヒーローだ…とまた号泣。笑
イタチの死とサスケの絶望で砕かれた心に、ナルトの希望の光がもたらされた…
ナルトの光に、強さに、執着に、私自身救われました。


ラストはみんなで歌うので、涙の余韻も笑顔に変わります。
ナルトな広大くんとサスケな流司くんで拳を付きあわせたり笑い合ったりしているのを見るとホッとする。
舞台が好きな理由はここでもある。どんなに辛い運命を背負った役でも、死んでしまったキャラクターでも、カーテンコールでは生きてる!笑
広大くんが噛んでしまうと、流司くんが刀抜いていて笑いました。

Wコールで出てきてくれた広大くんが挨拶をしていると、後ろをささっと走り去っていくいたずらっこなきたむーや、それを真似しようとして転んだ(フリ)君沢さんなど、
カンパニーも賑やかそうで、ナルトを盛り上げていってくれそうでうれしいです。

そういえば、隣に座っていたお父さんとお子様らしき方々が、サスケの刀の抜き方(背中の鞘に合わせた動き)が凄い!ってマネしてて微笑ましかったなあ。

年齢層も幅広くて、ナルトがたくさんの人に愛されていると改めて実感できた舞台でした。
楽しかった!!